更新情報:八高線列車転覆事故をアップしました(2012/07/30)。

はじめに

ようこそいらっしゃいました。「全研究下山事件」は、下山事件の自殺説に関する考察や資料をまとめたサイトです。「全研究下山事件」を立ち上げた理由は、本サイトの前身「下山事件自殺説紹介ブログ」のそれと重複する部分が多いため、やや長くなりますが、ブログ開設時に書いた文章を以下に引用します。

まず初めに当ブログ管理人の立場を述べますと、他殺説には十分な妥当性はないと考えています。ただ、「絶対に自殺」という考えとは少し違います。「他殺だったかもしれないが、他殺説を展開するに足る説得力のある材料はほとんどない」という立場です。

管理人が初めて読んだ下山事件関係の書籍は松本清張著『日本の黒い霧』でした。これでとっかかりを作り、矢田喜美雄著『謀殺 下山事件』(新風舎文庫版)へと進みましたが、その頃には自殺より他殺の可能性のほうがやや高いと考えていました。しかし、『謀殺 下山事件』の解説で和多田進氏は次のように書いていました。「『下山事件全研究』は私たち「他殺論」者にとって必ずしも反論が容易な一冊とは言い難い」、と。「反論し難い? 死体に血が少なかったことや、線路の血痕はどう考えても自殺では説明できないんじゃないのか?」、こんな思いで『下山事件全研究』を古書店で手に入れ、読み始めたのです。そして今は上に書いた結論に至っています。

『下山事件全研究』を始めとした自殺説の本を探しながら感じたのは、「自殺説の情報は他殺説のそれに比べて非常に手に入れにくい」ということでした。自殺説の代表的な書籍というと、今述べた佐藤一著『下山事件全研究』(時事通信社)をはじめ、平正一著『生体れき断』(毎日学生出版社)、関口由三著『真実を追う』(サンケイ新聞社)などがあります。これらは全て絶版です。資料的価値の高い下山事件研究会編『資料・下山事件』(みすず書房)もやはり絶版になっています。読むには図書館か古書店を回らなければなりませんし、必ずしも簡単に見つけられるわけでもありません。しかも古書店は今では入手しにくいこれらの書籍に高い値をつけることがしばしばです。下山事件を客観的に見るためには、自殺説と他殺説の両方を知ることが大切だと管理者は思っていますが、このような理由で自殺説にはなかなかアクセスできなくなっています。どちらかの説を支持したり、否定するという行為は、本来その両方をよく知っていなければできない行為なはずですが、下山事件に関してはどうも事情は異なるように思われます。ならば自殺説の簡単な紹介を自分でWeb上に作ってしまえばいいではないか、ということで生まれたのがこのブログです。

管理人が上記の文を書いた2007年末と大きく違うのは、下山事件発生から60年目となる2009年8月に自殺説の集大成ともいえる、『下山事件全研究』が復刊したことでしょう。ならばブログやサイトで自殺説を論ずる必要もないのではないかと考えたこともありますが、やはり依然として自殺説は他殺説より“とっつきにくい”のは確かだと思います。管理人の見るところ、よく吟味されぬまま他殺説が“通説”として支持されている状況はなにも変わっていません。したがって、ネットに繋がる環境さえあれば、誰でもアクセスできる場に自殺説の主張をまとめておくのは、やはり一定の価値があると判断しました。また、あくまで管理人の個人的な事情になりますが、自分がブログに書いてきた内容に満足できておらず、どこか違うところでもう一度丁寧に作り直したいという考えが大きくなっていったことも動機のひとつになっています。さらに、ブログを開始後、それなりの量の資料を手に入れるうち、それらをネット上のどこかに残したいと考えるようになりましたが、そのための場としてブログは適当とは思えず、なにか別の新しい入れ物を作る必要性もでてきました。このような理由で本サイト「全研究下山事件」の開設に至りました。

本サイトにおいても前身のブログと同様、下山事件関係者のうち目撃者に関しては氏名をイニシャルで表記します。管理人への連絡用のメールアドレスはフッター部分に記してありますが、いただいたメールすべてに返信できるとはかぎりませんので、予めご了承下さい。