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『法医学は考える』

『法医学は考える』、赤石英(著)、昭和42年(1967年)、講談社現代新書

著者の赤石英氏は本書が出版された当時東北大学法医学教室教授でした。『下山事件全研究』の著者、佐藤一氏もインタビューしている人です。赤石氏は、生体轢断でも生活反応を欠く場合があることを主張していました。

本書には轢死に関する法医学的記述はありませんが、下山事件とある程度関連した部分はあります。例えば佐分利駐支公使変死事件について、法医学的にはかなりの精度で自殺と断定されていたにもかかわらず他殺説を主張する松本清張氏を批判して、フィクションなのかノンフィクションなのか区別がつかないような印象を人々に与えることは問題ではないかと述べています(p63-68)。また、「あとがき」では明言はしていないものの、おそらく下山事件であろうという事例にも次のように言及しています(p204)。

第二次世界大戦後の某事件でもそうでしたように、ある新聞社のデスクが、それは他殺なんだろうと考えますと、後からどんな事実が出てこようが、そんなものは無視して、何がなんでも、他殺の線で押し通すなどということは、少なくとも先進国ではないことで、新聞は公器ではなく、“私器”なのかと疑いたくなります。

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