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『トンデモ本の世界U』

『トンデモ本の世界U』、と学会(編)、平成19年(2007年)、楽工社

まさか、と学会が下山事件を扱っているとは思いませんでした。この本の下山事件の章を執筆しているのは永瀬唯氏。批判対象は松本清張氏の『日本の黒い霧』で、その論拠になっているのが佐藤一氏『松本清張の陰謀』です。『日本の黒い霧』にはたくさんの章がありますが、永瀬氏は特にその中の「下山国鉄総裁謀殺事件」を取り上げて批判しています。ところで永瀬氏は佐藤一氏の経歴を勘違いしていて、GHQ支配時代に「国鉄労組の活動家」「プロの鉄道マン」だったとしていますが、佐藤氏は国鉄ではなく東芝に勤務していました。永瀬氏が執筆した章の内容自体は面白いのですが、こういうところのミスは本筋とは関係ないとはいえ残念なところです。細かく内容を紹介するとこのサイトで書くネタが少なくなってしまうのでやめますが、「主張者が自らの陰謀のシナリオの間違いを認めた後でさえ、それはのちのちまでまかり通ってしまう」という指摘はもっともだと思います。

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